【不動産の相続対策】収益物件で「評価減」と「家賃収入」を両立するには?2025年最新ルールとリスクも解説


「一生懸命貯めた現金を、そのまま相続させると税金で大きく減ってしまう…」
将来の相続を考えたとき、多くの方がこの理不尽さに悩みます。
額面そのままが課税対象となる現金に対し、不動産、特に賃貸物件への組み換えは、有効な相続対策として長年活用されてきました。
しかし、ここ数年で状況は変わりました。「タワマン節税」への規制強化や、過度な節税スキームへの監視など、国税庁の目線は厳しくなっています。
「アパートを建てれば安心」と安易に考えると、思わぬ追徴課税を受けたり、空室リスクで資産を目減りさせたりする可能性さえあります。
この記事では、最新の2025年税制トレンドを踏まえ、不動産を活用して「評価額を下げる」かつ「収益を生む」ための正しい手順を解説します。
また、不動産特有の「分けにくさ」や「納税資金」の問題をカバーする、FPならではの視点もお伝えします。
なぜ「現金」より「不動産」が相続に強いのか?
相続対策を考える際、まず理解しなければならないのが「現金の弱さ」と「不動産の強さ」の根本的な違いです。
多くの方が「不動産を買うとなぜ税金が安くなるのか?」という疑問を持たれていますが、これは国が定めた「財産の評価ルール」の違いに秘密があります。
現金1億円 vs 不動産1億円の評価額のズレ
結論から申し上げますと、不動産は「時価(売買価格)」よりも「相続税評価額(税金の計算基準)」が低く設定されているため、相続税対策として強力な効果を発揮します。
現金や預金の場合、1億円はそのまま「1億円」として評価され、課税対象になります。これは誰が見ても価値が変わらないからです。
一方、不動産(土地・建物)の相続税評価額は、実際に市場で売買される価格(時価)とは異なる基準で計算されます。
- 土地: 原則として「路線価」方式で評価されます。これは公示地価(時価の目安)の約80%程度に設定されています。
- 建物: 「固定資産税評価額」で評価されます。これは建築費(時価)の約50%〜70%程度になることが一般的です。
例えば、手元にある「現金1億円」で、評価額の圧縮効果が高い不動産を購入したと仮定しましょう。
- 【現金のまま相続】
- 相続税評価額:1億円
- この1億円に対して丸ごと税率がかかります。
- 【不動産(土地+自宅)に換えた場合】
- 土地(時価5,000万円)→ 路線価評価(約80%):約4,000万円
- 建物(時価5,000万円)→ 固定資産税評価(約60%):約3,000万円
- 相続税評価額の合計:約7,000万円
このように、ただ資産の形を「現金」から「不動産」に変えるだけで、評価額を約3,000万円も圧縮できる可能性があります。これが、富裕層がこぞって不動産を購入する最大の理由です。
賃貸に出すとさらに下がる「貸家建付地」の仕組み
ご自身が住むための家でも評価は下がりますが、これを「他人に貸す(賃貸経営する)」ことで、さらに強力な節税効果が生まれます。これが「貸家建付地(かしやたてつけち)」等の評価減の仕組みです。
他人に土地や建物を貸している場合、オーナー(所有者)であっても勝手に立ち入ったり、自由に売却したりすることが難しくなります。借家人の権利(借地借家権)が発生するため、「所有者の自由度が下がる=財産価値を低く見積もる」という考え方が適用されるのです。
具体的な計算式は以下のようになります(地域や物件により異なります)。
- 建物の評価: 固定資産税評価額 ×(1 - 借家権割合 30%)
- → 自宅の時よりさらに30%評価が下がります。
- 土地の評価: 路線価評価 ×(1 - 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)
- → 土地の評価もさらに約15〜20%程度下がります。
先ほどの1億円の不動産を賃貸アパートにした場合、評価額は約5,000万円〜6,000万円程度まで圧縮できる可能性があります。つまり、現金のまま持っている時に比べて、課税対象額を「約半分」にできるケースもあるのです。
これらを組み合わせることで、不動産は相続税対策の「王道」として機能しているのです。
【2025年最新】知らないと危険な「不動産評価」のルール変更
「不動産を買えば相続税対策になる」という知識は、もはや「常識」として定着していますが、その常識を揺るがす大きな変化がここ数年で起きています。
特に2024年1月から施行された新ルールや、国税庁の監視強化については、最新情報をアップデートしておかないと「計算が狂った」では済まされない事態になりかねません。
マンション評価適正化(タワマン節税規制)の影響と対策
まず押さえておきたいのが、2024年1月1日以降の相続・贈与から適用されている「居住用の区分所有財産(マンション)の評価方法の見直し」です。いわゆる「タワマン節税」封じ込め策です。
これまでは、タワーマンションなどの高層階は「実勢価格(時価)」が高額であるにもかかわらず、「相続税評価額」が極端に低くなる(時価の20〜30%程度になることもあった)ため、過度な節税に使われてきました。
しかし新ルールでは、実勢価格と評価額の乖離(かいり)が大きい物件については、「評価額を実勢価格の60%以上になるように補正する」という計算式が導入されました。
一戸建てを持つ人と、タワーマンションを持つ人で、同じ時価なのに相続税額が数倍も違うのは不公平だ、という観点からこの改正が行われました。
これにより、「タワマンを買えば評価額が5分の1になる!」といった魔法のような効果は期待できなくなりました。
しかし、それでも「現金(評価100%)」に比べれば「マンション(評価60%)」ですので、依然として4割程度の圧縮効果は残ります。「節税効果がゼロになった」わけではなく、「適正化された」と捉え、過度な期待をせずに堅実なシミュレーションを行うことが重要です。
要注意!「購入から短期間(3〜5年)での相続」への監視強化
法改正だけでなく、税務署の「運用(チェック体制)」も年々厳しくなっています。特に注意が必要なのが、「相続直前に購入した不動産」です。
「亡くなる直前に借金をして不動産を買い、相続税申告が終わったらすぐに売却して借金を返す」。
このような行為は、形式的には適法であっても、国税庁から「著しく不当な節税行為(租税回避行為)」とみなされ、伝家の宝刀である「総則6項」を発動されるリスクが高まっています。
2022年(令和4年)4月の最高裁判決で、相続直前に購入したマンションの評価額を、路線価ではなく「鑑定価格(時価)」で評価すべきとする国税庁側の主張が認められました。これにより、税務署側は「節税だけが目的と見られる行為」に対して、より厳しい目を向けるようになっています。
明確に「死の何年前ならOK」という法律はありませんが、実務上は「購入から3年〜5年以内」の相続発生や売却は特にチェックされやすい傾向にあります。
対策としては、単に税金を減らすだけでなく、「賃貸経営として事業性があるか」「長期保有する合理的な理由があるか」を明確にしておくことが、お客様を守る盾となります。
これからの不動産対策は「節税」より「収益性」が問われる理由
これらを踏まえると、これからの不動産相続対策のトレンドは明確です。
これまでは「赤字でもいいから評価が下がればOK」という考え方もありましたが、これからは「評価減はあくまでオマケ。しっかりと収益(家賃)を生む物件を選ぶ」ことが絶対条件です。
評価額の圧縮幅が制限され、金利のある世界(金利上昇局面)に突入した今、収益性の低い物件を持つことは、相続税を減らす以上に資産を食いつぶすリスクになります。
たとえ相続税が数千万円安くなっても、毎月の収支が赤字で、将来的に売却価格も下がるような「負動産」をつかんでしまっては本末転倒です。
この3つのバランスが取れた物件を選べるかどうかが、2025年以降の相続対策の勝敗を分けます。
FPが警鐘を鳴らす「収益物件対策」3つの落とし穴



「相続税は安くなったけれど、その後の苦労が絶えない…」
私の元には、親御さんが良かれと思って建てたアパートやマンションを引き継いだお子様世代から、このような悲痛な相談が寄せられることが少なくありません。
不動産は「評価減」には最強のツールですが、資産としての「扱いやすさ」には大きな欠点があります。ここでは、特に注意すべき3つのリスクを解説します。
【空室・修繕リスク】表面利回りだけで計算してはいけない
不動産投資の初心者が最も陥りやすいのが、販売図面に書かれた「表面利回り」だけを見て安心してしまうケースです。
相続対策で建てたアパートが、10年後、20年後に「お荷物」になる最大の原因は、空室の増加と修繕費の高騰です。建築当初は新築プレミアムで満室になりますが、競争力が落ちた時に本当の真価が問われます。
「家賃収入」から引かれる経費は想像以上に多岐にわたります。
- 固定資産税・都市計画税
- 管理委託手数料(家賃の5%程度)
- 入居者募集広告費(AD)
- 定期的な修繕費(外壁塗装や給湯器交換など)
- 将来の解体費用積立
さらに恐ろしいのが、ローンの元金返済が進むにつれて支払利息(経費になる部分)が減り、減価償却費も期間終了でなくなると、「手元の現金は残っていないのに、帳簿上は黒字になり税金だけが増える」という現象(デッドクロス)が起きることです。
「節税のために建てたアパートの税金を払うために、自分の給料を持ち出す」という事態だけは避けなければなりません。
【納税資金不足】相続税は「現金」一括払いが原則
これが不動産対策の最大の盲点です。「資産家(Asset Rich)」であっても「現金不足(Cash Poor)」に陥る典型的なパターンです。
どんなに不動産で評価額を下げたとしても、相続税自体がゼロにならない限り、最終的には「現金」で納税する必要があります。
相続税は、相続発生(死亡)を知った日の翌日から10ヶ月以内に、原則として現金一括で納めなければなりません。
「いざとなったらアパートを売ればいい」と考える方もいますが、足元を見られて買い叩かれたり、そもそも10ヶ月以内に好条件で売却完了し、現金化するのは至難の業です。
「現金がないなら不動産で払う(物納)」という制度もありますが、これは国の審査が非常に厳しく、適当な境界確定や測量が済んでいない物件や、権利関係が複雑な収益物件は認められないケースがほとんどです。「不動産を増やすなら、セットで現金を準備する」のが鉄則です。
【分割トラブル】不動産は「分けられない」のが最大の欠点
相続対策において「節税」よりも優先すべきなのが「円満な分割(争族対策)」です。しかし、不動産はこの点において非常に厄介な性質を持っています。
「兄弟2人で仲良く半分ずつ共有名義にしよう」。これは将来、確実にトラブルの火種になります。
共有名義にしてしまうと、将来売却したり、大規模修繕を行ったりする際に、共有者全員の同意が必要になります。もし兄弟の誰かが認知症になったり、あるいはその子供世代に相続が広がったりすると、権利関係が複雑になり、事実上の「塩漬け物件」になってしまいます。
不動産を特定の相続人(例:長男)が引き継ぐ場合、不公平にならないよう、他の相続人(例:次男)に対して相応の現金を支払う「代償分割(だいしょうぶんかつ)」という方法が一般的です。
しかし、この時もやはり「代償金としての現金」が必要になります。
つまり、不動産を活用した相続対策を成功させるには、「不動産の評価減メリット」を享受しつつ、「納税資金」と「分割資金」という現金のデメリットをどう埋めるかが鍵となるのです。
欠点を補う「不動産×生命保険」のハイブリッド対策
ここまで「不動産は評価額を下げる攻めのツール」である一方、「現金化しにくく、分けにくい」という弱点があることをお伝えしました。
この弱点を完璧にカバーできる金融商品が、実は「生命保険」です。多くの資産家が、不動産と生命保険をセットで活用するのは、お互いの弱点を補い合う「ベストミックス」の関係にあるからです。
不動産で「評価を下げ」、保険で「納税資金」を作る
役割分担を明確にする
不動産を購入して相続税評価額を圧縮し、税金の総額を減らします。そして、それでも発生する相続税の支払いには、死亡時に即座に現金化できる生命保険金を充てるのです。
保険特有の「即効性」
銀行預金は、名義人が亡くなると口座が凍結され、遺産分割協議が整うまで引き出すのに手間と時間がかかります。
一方、生命保険金は「受取人固有の財産」となるため、書類が揃えば数日〜1週間程度で現金が振り込まれます。
この「すぐに使える現金」があることで、相続税の納税期限(10ヶ月以内)に焦ることなく、余裕を持って対応できます。
非課税枠の活用
さらに、生命保険には「500万円 × 法定相続人の数」という非課税枠があります。
例えば相続人が3人いれば、1,500万円までの保険金は相続税がかかりません。現金をそのまま持っていれば課税されますが、保険に変えておくことで、納税資金を非課税で準備できるのです。
分けにくい不動産の代償金として保険金を活用する
「実家のアパートを長男が継ぐことになったが、次男に渡す財産がない」
このようなケースで最も有効なのが、生命保険を活用した「代償分割(だいしょうぶんかつ)」の準備です。
不動産は分けられませんが、保険金は「受取人を指定」できます。これを利用し、不動産を継がない相続人(次男など)を受取人にした保険に加入しておく、あるいは不動産を継ぐ人(長男)が保険金を受け取り、それを原資に次男へ現金を渡す方法がとれます。
「兄貴は数億円のアパートをもらったのに、俺はこれだけか」という不満が争族の火種になります。不動産の価値に見合うだけの現金を、保険という形で用意しておくことで、家族間の公平性を保つことができます。
受取人が指定された死亡保険金は、原則として遺産分割協議の対象外(受取人固有の財産)となります。つまり、他の相続人の同意がなくても、確実に特定の相手に現金を渡すことができるため、遺言書とセットで活用することで最強の争族対策となります。
資産の「ベストミックス」こそが最強の相続対策
「相続対策=アパート建築」と短絡的に考えるのではなく、資産全体のバランスを見ることが重要です。
リスク分散
不動産は市況や入居率に左右される「変動リスク」のある資産です。一方、生命保険(特に終身保険など)は、解約返戻金や死亡保険金が契約時に確定している「確実性」のある資産です。
FPの視点
- 攻め(評価減・収益): 不動産
- 守り(納税・分割・確実性): 生命保険
この両輪が揃って初めて、安心できる相続対策が完成します。私たちがご提案する際は、必ずこの「流動性(現金の回り)」と「バランス」をシミュレーションした上で、無理のないプランを作成します。
失敗しないための「相続対策ロードマップ」
相続対策は、小手先のテクニックではなく「段取り」が9割です。いきなり不動産屋に行くのではなく、正しい手順で進めることが、失敗を防ぐ唯一の方法です。
STEP1:現状の「相続税試算」と「財産目録」作成
何よりも先に行うべきは、「現状把握」です。
敵(税額)を知り、己(資産)を知る
自分がもし今亡くなったら、どのくらいの財産があり、いくらの相続税がかかるのか。これを把握せずに不動産を買うのは、地図を持たずに航海に出るようなものです。
対策の必要量を測るため
「相続税が300万円しかかからないのに、1億円の借金をしてアパートを建てる」のは、リスクと効果が見合っていません(過度な対策)。逆に、「数億円の税金がかかるのに、小さな区分マンション1室だけ」では効果が薄すぎます。
正確な試算があって初めて、「いくら評価を下げる必要があるか」という目標設定ができます。
財産目録の重要性
預貯金、有価証券、不動産、生命保険などを一覧にした「財産目録」を作成しましょう。これを作ることで、資産の偏り(不動産ばかり多い、現金が少なすぎる等)が可視化され、バランスの良い対策が見えてきます。
STEP2:家族会議で「誰が引き継ぐか」を話し合う
数字の計算と同じくらい重要なのが、「想い」の共有です。
親の「独りよがり」はトラブルの元
良かれと思って建てたアパートも、子供からすれば「管理が面倒」「売れない負債」と受け取られるかもしれません。
承継意思の確認
「この土地を守ってほしいのか」「最終的には売却してもいいのか」。そして子供側は「不動産経営を引き継ぐ覚悟があるのか」
この認識のズレを解消しないまま相続が発生すると、遺産分割協議が泥沼化します。
専門家を交えた対話
お金の話は家族だけで話しにくいことも多いものです。そんな時は、私たちのような第三者を交えてください。「相続税対策」という客観的なテーマを入り口にすることで、感情的にならずに冷静な家族会議を進めることができます。
まずはご家族で「幸せな相続」とは何かを話し合うことから始めてみましょう。
よくある質問とその回答
Q1. アパートローン(借金)があると相続税が安くなる仕組みを教えてください。
誤解されがちですが、借金そのものが魔法のように税金を消すわけではありません。現金1億円で不動産を買うと評価額が約4千万円に下がりますが、借金1億円はそのままマイナス1億円として計算されます。つまり「プラスの財産(不動産評価4千万円)」と「マイナスの財産(借金1億円)」の差額である6千万円分、全体の相続財産を圧縮できるという仕組みです。現金を残すよりも借金で不動産に変えた方が、評価上の落差を利用できるため節税効果が高まります。
Q2. 親が高齢ですが、今からアパートを建てても間に合いますか?
基本的には間に合いますが、注意が必要です。建物が完成して引き渡しを受けた時点で初めて「貸家」としての評価減が適用されます。建築中に相続が発生した場合は「建設仮勘定」としての評価となり、完成後ほどの節税効果が得られない可能性があります。また、高齢での多額の借入は銀行審査が厳しいだけでなく、認知症発症による契約トラブルのリスクもあるため、家族信託の活用なども含めて早急に専門家へ相談することをお勧めします。
Q3. 区分マンション1室と一棟アパート、どちらが良いですか?
資産規模と目的によります。区分マンションは数百万〜数千万円単位で購入でき、複数の相続人に「1部屋ずつ」分けやすいため、分割対策や納税資金用の売却に適しています。一方、一棟アパートは土地の持ち分が大きく、土地の評価減(小規模宅地等の特例など)の恩恵を受けやすいメリットがあります。一般的に、分割重視なら区分マンション、節税効果と土地活用重視なら一棟アパートが選ばれる傾向にあります。
Q4. 相続税がかからない家庭でも、不動産活用は必要ですか?
相続税対策(節税)としての必要性は低いですが、資産運用としての活用はあり得ます。ただし、相続税がかからない家庭で無理に不動産を購入すると、逆に「分けにくい財産」を増やしてしまい、遺産分割トラブル(争族)の原因になるリスクがあります。その場合は不動産を増やすよりも、生命保険などを活用して「分けやすい現金」を準備することや、生前贈与で次世代へ資産を移転することに重きを置くべきでしょう。
Q5. 「小規模宅地等の特例」はアパートでも使えますか?
はい、使えます。「貸付事業用宅地等」という区分に該当し、条件を満たせば200㎡(約60坪)までの土地の評価額が50%減額されます。ただし、自宅の敷地(80%減額)に比べると減額幅は小さくなります。また、平成30年の改正により、相続開始前3年以内に貸付事業を始めた場合は原則として適用できない(事業的規模などを除く)などの制限が加わっていますので、適用の可否は事前の慎重な確認が不可欠です。
まとめ
現金は額面通りの評価ですが、不動産は時価の約7〜8割、賃貸物件ならさらに約5〜6割まで評価額が下がります。この仕組みを利用し、現金を収益物件に換えることが相続税対策の基本かつ王道です。
タワマン節税への規制(評価額是正)や、購入後短期間での相続に対する国税庁の監視が厳格化しています。単なる節税目的だけでなく、長期的に安定した家賃収入が見込める「稼ぐ不動産」を選ばなければ、資産を目減りさせるリスクがあります。
「空室・修繕費による収益悪化」「納税時の現金不足」「分割の難しさ」。これら不動産特有のデメリットを無視してはいけません。特に借入金に依存しすぎると、金利上昇時にキャッシュフローが破綻する恐れがあります。
流動性の低い不動産の欠点を補うのが生命保険です。不動産で評価を下げつつ、生命保険で「納税資金」と「代償分割資金」を即座に用意する。この「攻めの不動産」と「守りの保険」のハイブリッド活用こそが、現代の最適解です。
いきなり物件を探すのではなく、まずは財産目録を作り相続税の試算を行いましょう。その上で「誰に何を残したいか」を家族会議で共有してください。正しい順序で進めることが、円満な相続への最短ルートです。