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【法人活用】事業承継は「会社」で守る!節税だけでなく「争族」も防ぐ賢い資産管理術と2025年の対策

【法人活用】事業承継は「会社」で守る!節税だけでなく「争族」も防ぐ賢い資産管理術と2025年の対策

「一生懸命会社を大きくしてきたのに、最後は税金で半分持っていかれるのか…」

「うちの子供たちに限って揉めることはないと思うけれど、資産の分け方が難しいな」

経営者や資産家の方とお話ししていると、こうした本音がポロリとこぼれます。

事業承継や相続対策というと、どうしても「いかに税金を減らすか」というテクニック論になりがちです。

しかし、数多くの相続案件を見てきてお伝えしたいのは、本当の対策とは「ご自身の築いた資産を、感謝とともに次世代へバトンタッチする仕組み作り」だということです。

個人の対策だけでは限界がある今、最強の選択肢となるのが「法人(会社)」の活用です。

この記事では、単なる節税スキームの紹介にとどまらず、最新の法改正(2024年のマンション評価見直し等)への対応や、万が一の際に会社と家族を守る資金繰り(キャッシュフロー)の視点まで、どこよりも分かりやすく解説します。

目次

なぜ今、資産家の間で「法人活用」が選ばれるのか?

「なぜ、わざわざ会社を作る必要があるの? 面倒ではないか?」

多くの方が最初に抱くこの疑問に対し、結論から申し上げます。それは、日本の税制において「個人」で資産を持ち続けることのリスクが極限まで高まっているからです。

そして、法人を活用することは、単なる「節税」を超えて、家族を守るための「シェルター(避難所)」を作ることと同義だからです。

ここでは、数字に基づいた「理由」と、「キャッシュフローの真実」について掘り下げます。

【現実】「個人の相続」は税率55%&遺産分割トラブルの温床

まず、冷厳な事実として日本の税率構造を直視する必要があります。

個人の所得税は「累進課税」であり、住民税と合わせると最高税率は55%に達します。さらに、その税金を払って残した資産を相続する際にも、最高55%の相続税がかかります。つまり、何も対策をしなければ、稼いだお金の多くが3代続く頃にはほとんど国庫へ消えてしまう計算になります。

また、個人資産(預金、不動産、株)は、所有者が亡くなった瞬間に「遺産」となり、銀行口座は凍結されます。

「誰が何をいくら貰うか」という遺産分割協議が整うまで、家族は1円も引き出せないことも珍しくありません。

これが、仲の良かった家族がいきなり生活費に困窮したり、分割を巡って「争族」に発展したりする最大の要因です。

【結論】法人は「資産を守る金庫」であり「家族をつなぐルールブック」

一方で、「法人(会社)」はどうでしょうか。

中小企業の法人税率は、所得800万円以下の部分で約15%、それ以上の部分でも実効税率で約30〜34%程度です。個人の最高55%と比べると、その差は歴然です。

しかし、税率以上に重要なのが「法人は死なない」という点です。

資産を法人名義にしておけば、あなた(経営者)に万が一のことがあっても、法人の口座が凍結されることはありません。会社の事業は継続し、役員報酬や給与という形で、残された家族に安定して生活費を渡し続けることができます。

つまり、法人化とは、資産を「個人の財布」から、より堅牢で永続性のある「法人の金庫」へ移し替える行為なのです。

これにより、感情的な遺産分割トラブルを避け、会社法という明確なルール(定款)に基づいて資産を管理・承継することが可能になります。

【独自視点】税金だけじゃない!FPが教える「キャッシュフロー」の重要性

多くの税理士は「税金がこれだけ安くなります」というPL(損益計算書)の視点で語りますが、私のようなFPは「手元に現金がいくら残るか」というBS(貸借対照表)とキャッシュフローの視点を重視します。

例えば、個人で賃貸物件を持っている場合、家賃収入はすべて個人の所得となり、高い税金を払った残りを貯蓄して、将来の相続税納税資金を準備しなければなりません。これでは資金が貯まるスピードが遅すぎます。

法人であれば、経費計上の幅が広く(役員社宅、出張手当、生命保険など)、利益を圧縮しながら効率よく内部留保(現金の蓄積)が可能です。

「税金を払うために借金をして相続する」個人と、「会社に貯めた内部留保でゆとりを持って納税や代償分割を行う」法人。

どちらがご家族にとって幸せな未来かは、火を見るよりも明らかではないでしょうか。

次章からは、この強力な「法人」という器を使って、具体的にどのようなスキームで資産を守るのか、代表的な3つの手法を解説していきます。

事業承継×相続対策に効く!代表的な3つの法人化スキーム

「法人化が良いのはわかったけれど、具体的にどうすればいいの?」

一口に法人活用と言っても、ご自身の資産状況(不動産が多いのか、自社株が高いのか、現金が余っているのか)によって、選ぶべき「型(スキーム)」は異なります。

ここでは、事業承継と相続対策において最も効果を発揮する「3つの鉄板スキーム」をご紹介します。

これらは単独で行うこともあれば、組み合わせて効果を最大化することもあります。

スキーム①:不動産管理会社(プライベートカンパニー)

~家賃収入を家族へ「給与」として移転する~

地主様や不動産オーナー様に最もポピュラーな手法です。個人所有の不動産を法人へ移転(または建物のみ移転)し、そこから得られる家賃収入を、配偶者や子供・孫に「役員報酬」として支払うことで、所得を分散させます。

個人の不動産所得として積み上がると、将来そのまま高税率の相続財産になってしまいます。しかし、法人を通じて家族に給与として支払えば、「将来の相続財産の増加」を食い止めると同時に、「家族の手元に現金を移転(生前贈与と同等の効果)」することができます。

【⚠️ここが重要!2024年以降の最新トレンド】

2024年1月1日より、マンションの相続税評価額のルールが改正されました(いわゆるタワマン節税封じ)。

これにより、「法人でマンションを買えば評価額が大幅に下がるから節税になる」という単純な「評価減テクニック」の効果は、以前より限定的になりました。

しかし、「収益(家賃)を分散して所得税を下げ、資金移転する」というキャッシュフロー上のメリットは依然として健在です。

これからの不動産法人は、「評価額を無理やり下げる」ことよりも、「長く確実に収益を生み、それを家族に分配する機能」を重視した物件選びがカギとなります。

スキーム②:持株会社(ホールディングス)方式

~自社株の高騰を止める「蓋(フタ)」の役割~

業績好調なオーナー社長に必須のスキームです。あなたが持っている「事業会社(本業の会社)」の株式を、新設した「持株会社(資産管理会社)」に移転します。

本業の会社が儲かり続けると、自社株の評価額は天井知らずに上がり続け、将来、子供が株を相続する際に莫大な相続税がかかります。

そこで、あなたが持っている株を持株会社に移します。すると、今後どれだけ本業が儲かっても、その利益は「持株会社」に帰属することになります。

これにより、あなたの持っている「持株会社の株式」の価値上昇を緩やかに抑える(株価に蓋をする)ことが可能になります。

「株価対策」はタイミングが命です。株価が上がりきってからでは打てる手が限られるため、業績が伸びている段階での早期決断が、数億円単位の節税効果を生むことも珍しくありません。

スキーム③:生命保険を活用した「出口戦略」

~退職金準備と株価引き下げの合わせ技~

法人化の最大のメリットの一つが、生命保険の活用です。これは単なる「節税保険」ではありません。「社長の退職金(勇退時の現金)」を作りながら、「株価を引き下げる」という一石二鳥の効果を狙います。

法人が契約者となり、社長に万が一があった場合や、勇退時の退職金原資として保険に加入します。

ここでのポイントは、「死亡退職金・弔慰金」は相続税法上の非課税枠が大きいという点です。

さらに、プロの視点ではもう一つ重要な効果があります。

将来、社長が勇退して高額な役員退職金を会社から受け取ると、会社の資産(現金)が大きく減り、一時的に会社の利益も圧縮(赤字化)されます。

このタイミングで自社株の評価額がガクンと下がります。

この「株価が下がった瞬間」を狙って、後継者へ自社株を贈与・譲渡することで、最小限の税コストで事業承継を完了させる。これが、保険を活用した最もスマートな出口戦略です。

「家族経営」だからこそ注意!親子で揉めないための運営ルール

「税金が安くなるなら」と、安易に家族を役員にして法人を作った結果、かえって家族仲が悪くなってしまった…。

残念ながら、そんなケースを私はいくつも見てきました。

法人という「強い箱」を作るからこそ、その中身である「運営ルール」を曖昧にしてはいけません。

ここでは、家族経営特有の落とし穴と、それを防ぐための法的・実務的な知恵をお伝えします。

名ばかり役員はNG!実態を伴う「家族会議」のすすめ

妻や子供を役員にする場合、「名前だけ貸しておいて」は通用しません。税務調査で最も厳しく見られるのが「勤務実態」です。また、実態のない役員就任は、子供たちに「働かなくてもお金がもらえる」という誤った金銭感覚を植え付けるリスクもあります。

資産管理会社であっても、不動産の視察、修繕計画の策定、通帳の記帳など、やるべき仕事はあります。これらを家族で分担し、月に一度は必ず「家族会議(取締役会)」を開催して議事録を残してください。

これは、税務署に対する「実態の証明」になるだけではありません。

「今、家にはこれだけの資産があり、将来はこう守っていきたい」

という親の想いを共有する場になります。このコミュニケーションの蓄積こそが、将来の遺産分割争いを防ぐ最強のワクチンとなります。

子供たちへの株の渡し方〜「種類株式」という魔法の杖〜

事業承継の現場で、私が弁護士と共に最も推奨しているのが「種類株式(しゅるいかぶしき)」の活用です。これは、「経営権(口出しする権利)」と「財産権(お金をもらう権利)」を切り分けて渡すための高度な法的テクニックです。

例えば、長男に会社を継がせたいが、次男や長女にも資産は平等に残してあげたい。そんな時、普通の株式を均等に渡してしまうと、後継者である長男が他の兄弟に経営を邪魔される(株主総会で否決される)リスクが生じます。

そこで「種類株式」の出番です。

  • 後継者(長男)には:議決権のある「普通株式」を渡す(=経営権を集中)。
  • その他(次男・長女)には:議決権はないが、配当を優先的に多くもらえる「無議決権株式(配当優先株)」を渡す(=経済的利益を保証)。

このように、法人という仕組みの中で「会社の舵取り役」と「株主としての恩恵を受ける役」を明確にデザインできることこそ、個人にはない法人の圧倒的な強みなのです。

「後継者」の自覚を促す教育装置としての法人

法人は、単なる節税装置ではありません。

子供を法人の役員や社員として迎え入れ、給与を支払うということは、社会保険料の負担や源泉所得税の納付など、経営者としての基礎を学ばせる機会でもあります。

「親の財布からお小遣いをもらう」関係から、「会社という公器を通じて報酬を得る」関係へ。

この意識の変革(マインドセット)を行うことこそが、100年続く資産家一族になるための第一歩です。

導入前に知っておくべき「落とし穴」とコスト

ここまで、法人のメリットを中心にお伝えしてきましたが、当然ながらデメリットやコストも存在します。

「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、設立前に必ずシミュレーションすべき「3つのハードル」を正直にお話しします。

① 社会保険料という「見えない税金」の負担増

法人化を検討する際、多くの方が最も驚かれるのが「社会保険料(厚生年金・健康保険)」の負担です。

個人事業主や不動産オーナーの場合、国民健康保険と国民年金のみですが、法人を作って役員報酬を出すと、会社と個人で社会保険料を折半して負担しなければなりません。

この負担額は決して小さくなく、設定する役員報酬額によっては、「節税できた税金額」よりも「増えた社会保険料」の方が高くなるという逆転現象(本末転倒)が起こり得ます。

ただし、厚生年金に加入することで「将来受け取る年金額が増える」「遺族年金が手厚くなる」というメリットもあります。目先のキャッシュフローだけでなく、将来の受給権も含めたトータルの損益分岐点を見極める必要があります。

② 設立・維持にかかるコストと手間

法人は「作っただけ」では維持できません。

  • 設立費用:株式会社なら約25〜30万円、合同会社でも約10万円の実費がかかります。
  • 均等割(きんとうわり):会社が赤字であっても、法人住民税として年間約7万円の納税義務が発生します。
  • 税理士報酬:個人の確定申告よりも会計処理が複雑になるため、税理士への顧問料や決算料(年間数十万円〜)が必要になります。

一般的に、「個人の所得(課税所得)が900万円」を超えたあたりが、これらのコストを払ってでも法人化した方が得になる損益分岐点と言われています。

③ 既存物件の法人移転にかかる「移転コスト」

すでに個人で持っている不動産を法人に移す場合、タダでは移せません。

不動産を売買形式で法人に移すことになるため、「不動産取得税」や「登録免許税」といった流通税がかかります。また、融資を受けている物件の場合は、銀行の承諾や借り換え手数料も必要です。

これから新規で物件を買う場合は法人で買えば良いですが、「すでに持っている物件」を法人化するかどうかは、これらの移転コストを数年で回収できるほどの節税効果があるか、慎重なシミュレーションが不可欠です。

よくある質問とその回答(FAQ)

Q1. サラリーマンでも資産管理会社は設立できますか?

はい、可能です。ただし、お勤め先の就業規則で副業が禁止されていないか確認が必要です。もし副業禁止規定がある場合でも、奥様を社長にしてご自身は出資者(株主)に徹する、あるいは非常勤役員として報酬をゼロに設定するといった方法で、規定に抵触せずに運用できるケースが多くあります。本業の給与所得が高い方ほど、不動産所得などを法人に移転することで得られる節税効果(所得税率の差)は大きくなる傾向にあります。

Q2. 法人化を検討すべき「資産額」や「所得」の目安はありますか?

一般的な損益分岐点は、個人の課税所得で900万円前後、不動産投資の規模であれば年間家賃収入が1,000万円を超えたあたりが目安と言われています。しかし、これはあくまで「毎年の税金の損得」だけの基準です。将来の相続対策として「資産の蓄積場所を変えたい」あるいは「争族を防ぐルールを作りたい」という目的がある場合は、所得がこの基準以下であっても、早めに法人化して時間を味方につけるメリットは十分にあります。

Q3. すでに個人で所有しているアパートを法人に移すと税金が高いと聞きました。

その通りです。個人から法人へ所有権を移転するには売買契約が必要となり、不動産取得税や登録免許税といった高額な移転コストがかかります。これらを税軽減効果で回収するには長い年月が必要です。そのため、既存物件は無理に所有権を移転させず、「建物のみ移転する」あるいは「管理業務だけを法人に委託して管理料を払う」という形式をとり、新規物件から法人で購入するというハイブリッドな手法をとるケースも多くあります。

Q4. 「相続時精算課税制度」と「法人化」、どちらを選べば良いですか?

これらは「どちらか」を選ぶものではなく、併用して効果を高めるものです。法人は毎年の所得(フロー)を分散させる装置として使い、相続時精算課税制度は自社株などの資産(ストック)を一気に後継者に移す際に使います。特に2024年の改正で相続時精算課税制度に基礎控除が新設され、使い勝手が格段に良くなりました。法人で資産を増やしつつ、株の承継にはこの制度を活用するなど、プロによるトータルコーディネートが重要です。

Q5. 2025年以降、法人に関する税制はどう変わると予測されますか?

政府は「賃上げ」や「投資」を行う企業を優遇する一方で、単なる節税目的のペーパーカンパニーに対する監視は年々強化しています。特に社会保険の適用拡大や、タワマン評価の見直しなどはその一環です。しかし、適切な事業実体を持つ法人であれば過度に恐れる必要はありません。税制は毎年変わるため、一度作って終わりではなく、常に最新情報をキャッチアップできる専門家をパートナーに持つことが、変化の激しい時代における最大の防衛策となります。

まとめ

まとめ

個人の相続対策には「税率」と「凍結リスク」の限界がある

日本の所得税と相続税の最高税率は共に55%であり、個人で資産を持ち続けることは、資産の半分以上を失うリスクと隣り合わせです。また、認知症や相続発生時における「口座凍結」のリスクも無視できません。資産を守り、円滑に次世代へ渡すためには、個人商店的な管理から脱却し、「法人」という永続性のある器(うつわ)を活用することが、資産防衛のスタンダードになりつつあります。

まとめ

法人は「節税装置」である以上に「家族の絆を守る金庫」である

法人化のメリットを「税金が安くなる」という点だけで捉えるのはもったいないことです。真の価値は、資産を個人の所有から切り離し、会社法という明確なルールの下で管理できる点にあります。これにより、感情的な遺産分割トラブル(争族)を防ぎ、経営者(親)に万が一のことがあっても、役員報酬などを通じて残された家族の生活を安定して守り続けることが可能になります。

まとめ

3つの基本スキーム(不動産・持株・保険)を使い分ける

資産の内容によって最適な法人の使い方は異なります。家賃収入を分散させる「不動産管理会社」、自社株の値上がりを抑える「持株会社(ホールディングス)」、そして退職金準備と株価引き下げを同時に行う「生命保険の活用」。これらを単独、あるいは組み合わせることで、キャッシュフローを最大化しつつ、将来の相続税納税資金を計画的に準備することができます。

まとめ

家族経営だからこそ「実態」と「教育」がおろそかになりがち

「家族だから適当でいい」は通用しません。名ばかり役員は税務調査で否認されるリスクがあるだけでなく、子供たちの勤労意欲を削ぐことにも繋がります。定期的な家族会議(取締役会)の開催や、種類株式を活用した経営権と財産権の分離など、法的な整備をしっかり行うことが重要です。法人運営を通じて子供に経営者教育を行うことが、100年続く家系を作る鍵となります。

まとめ

コストとリスクを直視し、専門家と共にシミュレーションを

社会保険料の負担増や移転コストなど、法人化には特有のコストがかかります。また、税制は毎年改正されるため、最新のルールに適応し続ける必要があります。「なんとなく」で設立するのではなく、ご自身の資産規模や家族構成に合わせて、10年、20年先を見据えた詳細なシミュレーションを行った上で、実行に移す決断をしてください。

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