【重要】相続税の計算方法5ステップ|遺産8,000万円の事例とFP流「簡易評価術」


「実家の土地と貯金、合わせると相続税がかかるかもしれない…」
「でも、土地の値段なんてわからないし、税理士に相談するほどでもない気がする。」
そんな「漠然とした不安」を抱えたまま、時間だけが過ぎていませんか?
実は、私たちのもとに駆け込まれるお客様で一番多いのが、「まさかウチに相続税がかかるとは思わなかった」というケースと、「税金は計算できたけど、払う現金がない!」というケースです。
相続税の計算は、難しい法律の勉強ではありません。今の現状を知るための「健康診断」です。
この記事では、「遺産8,000万円・配偶者と子2人」という具体的かつ典型的なモデルケースを使って、相続税の計算方法を徹底解説します。
さらに、教科書的な計算だけでなく、
「今すぐ手元の固定資産税納税通知書から土地の値段を概算するプロの裏ワザ」や、
「計算上の税金は払えても、現金が足りなくなる恐怖」といった、現場を知る人間だからこそお伝えできる「落とし穴」についても踏み込みます。
電卓をご用意ください。この記事を読み終える頃には、あなたの家の「相続税の正体」が数字で見え、今夜から枕を高くして眠れるようになるはずです。
まずは「門前払い」を目指せ!相続税がかかる境界線
相続税の計算と聞くと、いきなり「税率」や「特例」の話から入りたくなりますが、ちょっと待ってください。
実は、亡くなった方の約9割は相続税がかかりません。
まずは、あなた(またはご実家)が、税務署に申告書を出す必要がある「選ばれし1割」に入るのか、それとも「門前払い(申告不要)」で安心できるのか。その境界線を確認することがスタートラインです。
結論:この「基礎控除額」を超えなければ税金は0円
相続税には、すべての国民に平等に与えられた非課税枠があります。これを「基礎控除額(きそこうじょがく)」と呼びます。
遺産の合計額(借金などを引いた正味の金額)が、この基礎控除額以下であれば、相続税は1円もかかりませんし、税務署への申告も一切不要です。
基礎控除額を求める計算式は以下の通りです。
非常にシンプルですね。「3,000万円」をベースに、相続人1人につき「600万円」が加算されていくイメージです。
理由:家族を養うための財産には税金をかけない
なぜこのような控除があるのでしょうか?
それは、残された家族(遺族)の生活を守るためです。大黒柱を失った家族が、明日からの生活費や住む場所を確保できるよう、国は「最低限これくらいの財産には税金をかけずに残してあげよう」と考えているのです。
そのため、養うべき家族(法定相続人)の数が多ければ多いほど、非課税枠(基礎控除額)も大きくなる仕組みになっています。
根拠:早見表であなたの「安心ライン」をチェック
では、実際にあなたの家族構成ではいくらまでなら無税なのか、以下の早見表で確認してみましょう。
【基礎控除額 早見表】
| 法定相続人の数 | 基礎控除額(非課税ライン) |
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
| 5人 | 6,000万円 |
今回のモデルケースである「配偶者と子供2人」の場合、法定相続人は合計3人です。
計算式に当てはめると、
3,000万円 + (600万円×3人)= 4,800万円
となります。
つまり、遺産総額が4,800万円以下であれば、ここでこの記事を閉じていただいても構いません(相続税はかかりません)。
しかし、都市部に持ち家がある場合や、退職金・生命保険金がそれなりにある場合、この4,800万円というラインは意外と簡単に超えてしまいます。
「うちはギリギリ大丈夫かな?」と思った方こそ、次のセクションからの「正確な計算」が必要です。
【プロの知恵】ステップ1・2:財産評価の「裏ワザ」と正味遺産額
基礎控除額(ボーダーライン)が分かったところで、次はご自身の「正味遺産額(しょうみいさんがく)」を算出します。
ここが相続税計算の最大の山場です。なぜなら、預金のように通帳を見れば分かるものばかりではなく、「いくらか分からない土地」や「目に見えない保険金」があるからです。
正確に、かつ簡単に算出するためのプロのテクニックを伝授します。
ステップ1:プラスの財産を洗い出す(特に不動産!)
まずはプラスの財産をすべて合計します。
現金、預貯金、有価証券(株・国債など)、そして不動産です。
【結論】土地の評価は「固定資産税評価額 × 1.14」で概算せよ
一番の難関は「土地」の値段です。
相続税の計算では、本来「路線価(ろせんか)」という国が定めた道路の値段を使って計算しなければなりません。しかし、慣れていない方が路線価図を見て計算するのは非常にハードルが高く、ここで挫折してしまいがちです。
そこで、私が普段の相談現場で、とりあえずの概算を出す際に使う「プロの裏ワザ」をお教えします。
【理由】手元の通知書一つで「路線価」に近い数字が出せるから
毎年4月〜5月頃に役所から届く「固定資産税 納税通知書」をご用意ください。そこには必ず「評価額」という欄があります。
実は、日本の土地評価には以下の法則があります。
- 実勢価格(売買価格): 100%
- 相続税評価額(路線価): 実勢価格の約80%
- 固定資産税評価額: 実勢価格の約70%
この比率を利用すると、手元の「固定資産税評価額」から「相続税評価額」を逆算できるのです。
【根拠】魔法の倍率「1.14」
計算式は以下の通りです。
例えば、通知書に「土地評価額:2,000万円」と書いてあれば、
2,000万円 × 1.14 = 2,280万円
これが、あなたの土地の「ざっくりとした相続税評価額」です。これなら今すぐ計算できますよね。
忘れがちな「みなし相続財産」と「非課税枠」
次に注意すべきは、亡くなったことがきっかけで入ってくるお金です。これを「みなし相続財産」と呼びます。
- 死亡保険金
- 死亡退職金
これらは本来、民法上の遺産ではありませんが、税金計算上は遺産に含まれます。
しかし、ここにも「優遇措置」があります。
「500万円 × 法定相続人の数」までは、税金がかかりません。
今回のモデルケース(相続人3人)なら、
500万円 × 3人 = 1,500万円
までは、受け取った保険金から差し引いて(なかったことにして)計算できます。これを引き忘れると税金を払いすぎることになるので注意してください。
ステップ2:マイナスの財産(借金・葬儀費用)を引く
プラスの財産が出揃ったら、そこから「マイナスの財産」を引きます。
【結論】引けるものは徹底的に引いて「正味」を減らす
相続税がかかるのは、あくまで手元に残る「正味の遺産」に対してです。以下のものは遺産総額からマイナスできます。
- 借金・ローン: 住宅ローン、カードローン、未払いの医療費、未払いの税金など。
- 葬儀費用: お通夜・告別式にかかった費用、火葬料、お布施など。
【注意】お墓や仏壇は引けない?
よくある間違いですが、「香典返し」の費用や、「お墓・仏壇」の購入費用はマイナスできません。
(※お墓や仏壇はそもそも「非課税財産」なので相続税がかかりませんが、購入費用を債務として引くこともできません。そのため、生前に購入しておいて現金を減らしておくのが有効な節税対策となります)
ここまでのまとめ:正味遺産額の確定
これで計算の準備が整いました。計算式は以下の通りです。
(預貯金 + 不動産評価額 + 生命保険の課税部分) - (借金 + 葬儀費用) = 正味遺産額
この「正味遺産額」が、最初に確認した「基礎控除額(今回の例では4,800万円)」を超えている場合、その超えた部分に対してのみ課税されます。
次章では、いよいよ「遺産8,000万円」のモデルケースを使って、実際に電卓を叩いて税額を出してみましょう。
【実践シミュレーション】遺産8,000万円(配偶者・子2人)のリアル計算
それでは、先ほど算出した「正味遺産額」をもとに、実際にいくら税金がかかるのか計算してみましょう。
ここでは分かりやすく、以下の「よくある家庭のモデルケース」を設定します。
- 正味遺産額: 8,000万円(自宅不動産・預金・保険金などの合計)
- 相続人: 3人(母・長男・長女)
- 基礎控除額: 4,800万円(3,000万+600万×3人)
まず、スタート地点となる「課税対象額」を出します。
8,000万円 - 4,800万円 = 3,200万円
この「3,200万円」に対して税金がかかります。
「じゃあ、3,200万円に税率をかければいいの?」と思いがちですが、ここが最大の勘違いポイントです。
日本の相続税は、「一度、法定相続分で分けたと仮定して計算し、最後に合算する」という少し独特な計算方法をとります。
ステップ3から見ていきましょう。
ステップ3:法定相続分で「仮の」按分をする
誰が実際にいくらもらうかは一旦置いておき、民法で決められた「法定相続分」で3,200万円を機械的に分けます。
母(配偶者): 1/2 → 1,600万円
長男(子供): 1/4 → 800万円
長女(子供): 1/4 → 800万円
ステップ4:税率をかけて「相続税の総額」を算出
分けられた金額に対して、それぞれ国が決めた税率をかけます。
(※参考:1,000万円以下は10%、3,000万円以下は15%・控除額50万円)
- 母の分:
1,600万円 × 15% - 50万円 = 190万円 - 長男の分:
800万円 × 10% = 80万円 - 長女の分:
800万円 × 10% = 80万円
これらをすべて合計します。
190万円 + 80万円 + 80万円 = 350万円
この「350万円」が、この一家全体で支払うべき相続税の総額です。
(※ここが重要です。遺産の分け方をどう変えても、基本の総額は変わりません)
ステップ5:実際の相続割合に応じて割り振る
最後に、この350万円という請求書を、「実際に財産をもらった割合」で家族みんなで負担します。
もし、法定相続分どおり(母半分、子供たち半分)に遺産を分けたなら、税金の支払いもそのままです。
- 母の納税額: 190万円
- 長男の納税額: 80万円
- 長女の納税額: 80万円
「えっ、お母さん(配偶者)も190万円払うの? 老後の資金が減るのは困る…」
そう思われた方、ご安心ください。
ここで登場するのが、冒頭でお伝えした「税金を劇的に安くする特例」です。
次の章では、この350万円の税金が、特例を使うことで驚くべき金額(場合によっては0円)になる魔法のような仕組みを解説します。
【重要視点】「計算上の税金」は払えても、「現金」が足りない恐怖
「なんだ、家族みんなで350万円か。貯金でなんとかなりそうだ。」
先ほどの計算結果を見て、そう胸を撫で下ろした方もいるかもしれません。
しかし、ここには「電卓上の数字」だけでは見えない、非常に恐ろしい落とし穴があります。
FPとして現場に立っていると、「遺産はあるのに、税金が払えない」という、いわゆる「相続破産(黒字倒産)」の危機に直面するご家族を数多く目にします。
なぜそんなことが起きるのでしょうか?
結論:遺産の「中身(内訳)」が命運を分ける
相続税は、原則として「現金一括納付」です。「土地の一部を国に渡して勘弁してもらう(物納)」は、現代ではほぼ認められません。
先ほどの「遺産8,000万円」のケースで、中身の違いによる天国と地獄を比較してみましょう。
- 【ケースA:安心パターン】
- 不動産:2,000万円
- 現預金:6,000万円
- 判定: 税金350万円を払っても、手元に十分な現金が残ります。遺産分け(遺産分割)も、現金を分ければいいので揉めません。
- 【ケースB:危険パターン】
- 不動産:6,000万円(自宅・先祖代々の土地など)
- 現預金:2,000万円
- 判定: ここが問題です。「えっ、現金2,000万円あるなら350万円の税金なんて余裕でしょ?」と思いませんか?
理由:分けられない不動産が「現金」をロックする
ケースBの落とし穴は、「遺産分割」と「納税」の板挟みです。
例えば、長男が「家を継ぐ(不動産6,000万円を取得)」とします。
すると、公平に分けるために、長女は「現金2,000万円すべて」を欲しがるでしょう。
しかし、母(配偶者)の生活費も必要です。
もし長男が不動産を相続したら、長男自身の納税資金(先ほどの計算では80万円)はどうしますか?
親の預金は長女や母に渡ってしまい、長男の手元には「売るに売れない実家」しか残りません。自分の貯金を切り崩せれば良いですが、もし長男にお金がなかったら…?
最悪の場合、「税金を払うために、住んでいる実家を売却する」という本末転倒な結末を迎えることになります。これが相続の怖いところです。
解決策:生命保険という「即効性の現金」を用意する
こうした事態を防ぐために、私たちプロが最も推奨するのが「生命保険」の活用です。
生命保険には、単なる死亡保障だけでなく、相続対策としての強力な機能が2つあります。
- 非課税枠で税金を減らす
前述の通り「500万円 × 相続人の数」までは税金がかかりません。現金をそのまま持っているより、保険に変えておくだけで節税になります。 - 「受取人固有の財産」として確実に現金を渡せる
遺産分割協議(家族の話し合い)を待たずに、保険会社に請求すれば数日で現金が振り込まれます。
例えば、家を継ぐ長男を受取人にして保険に入っておけば、長男はその保険金を使ってスムーズに納税ができ、実家を守ることができます。
「相続税対策=土地活用(アパート建築)」をイメージする方が多いですが、最初の第一歩は「納税資金(現金)の確保」です。ここを疎かにしてはいけません。
【救済措置】税額をゼロに近づける「2大特例」の威力
先ほどのシミュレーションでは、家族全体で「350万円」の税金が発生しました。
「やっぱり相続税は高い…」と諦めるのはまだ早いです。
相続税には、残された家族の生活基盤(住む家や老後の資金)を守るために、特大の割引チケットが2枚用意されています。
これらを適用することで、今回のケースでも税金を「0円」にできる可能性が高いのです。
特例1:配偶者の税額軽減(通称:配偶者控除)
これは「最強の特例」です。
夫婦で築き上げた財産ですから、残された配偶者が受け取る分には、以下のどちらか多い金額までは税金がかかりません。
- 1億6,000万円まで
- 配偶者の法定相続分(全体の半分)まで
今回の遺産8,000万円のケースでは、お母さんが全額(8,000万円)相続したとしても「1億6,000万円以下」なので、お母さんの税金は0円になります。
先ほどの計算で、お母さんの負担分は「190万円」と出ましたが、この特例を使えばこれがチャラになります。
特例2:小規模宅地等の特例(土地の評価80%OFF)
もう一つの強力な武器が、土地の評価を劇的に下げるこの特例です。
亡くなった方と一緒に住んでいた家族が、その自宅(土地)を相続する場合、「330平方メートル(約100坪)までは、土地の評価額を80%減額してくれる」という制度です。
「80%になる」のではありません。「80%引き(20%の評価)」になるのです。
【再シミュレーション】特例を使うとどうなる?
今回の「遺産8,000万円」の内訳を、仮に以下のように設定してみましょう。
- 土地(自宅敷地): 4,000万円
- 建物・預金等: 4,000万円
- 合計: 8,000万円
ここで、自宅土地を配偶者(母)または同居の子供が相続し、「小規模宅地等の特例」を使ったとします。
- 土地の減額計算:
4,000万円 × 80% = 3,200万円(これがマイナスされる!) - 新しい土地評価額:
4,000万円 - 3,200万円 = 800万円 - 特例適用後の遺産総額:
800万円(新・土地)+ 4,000万円(その他)= 4,800万円
なんと、遺産総額が「4,800万円」まで圧縮されました。
これを、最初に計算した「基礎控除額(4,800万円)」と比べてみてください。
遺産総額 4,800万円 ≦ 基礎控除額 4,800万円
つまり、課税対象額はゼロ。相続税は家族全員で「0円」になります。
350万円払うはずだったものが、知識一つで0円になる。これが相続税の現場のリアルです。
【最重要】特例は「申告」しないと使えない!
ここでこの記事の中で一番大事なことを言います。
「特例を使えば税金0円だから、何もしなくていい」は大間違いです。
基礎控除(4,800万円)以下の場合は、申告自体が不要(門前払い)でした。
しかし、この2つの特例は「税務署に申告書を提出すること」が適用の条件です。
- 申告書を出す ⇒ 特例が認められて税金0円
- 申告書を出さない ⇒ 特例が使えず、税金350万円の請求書が来る
「0円の申告」をするために、税理士に依頼するコストはかかるかもしれませんが、350万円払うよりは遥かに安く済みます。
承知いたしました。それでは、記事の締めくくりとして、最後のセクション「注意点(落とし穴)」、そして「FAQ」「まとめ」を作成し、全体の構成を完成させます。
自分で計算する際の「3つの落とし穴」
ここまで、ご自身で計算するための手順をお伝えしてきました。しかし、私たちプロが後からチェックすると、「これは税務調査で指摘されるな」という間違いが非常に多いのが実情です。
特に多い「3つの落とし穴」を最後に挙げておきます。これらは意図的な脱税のつもりはなくても、知らなかっただけでペナルティ(加算税)の対象になりかねません。
①「名義預金」の計上漏れ
これが税務調査での指摘件数No.1です。
「子供や孫の名前で通帳を作って、長年コツコツ貯めておいたお金」は、たとえ通帳の名義が子供であっても、実質的に親(被相続人)が管理していたなら、それは親の遺産(相続財産)とみなされます。
- 通帳や印鑑を親が持っていた
- 子供がその口座の存在を知らなかった
- 贈与契約書がない
これらに当てはまる場合、その預金も「8,000万円」の中に足して計算し直す必要があります。「名前が違うから大丈夫」は税務署には通用しません。
②「タンス預金」は必ずバレる
「銀行に入れると足がつくから」と、亡くなる直前に預金を大量に引き出し、自宅の金庫やタンスに現金として保管するケースです。
残念ながら、これも税務署には筒抜けです。税務署は「過去10年分の入出金履歴」を調査する権限を持っています。「使い道が不明な多額の出金」があれば、それは手元に現金(タンス預金)として残っていると推定され、課税対象になります。
③「二次相続」を忘れた分割
今回のシミュレーションでは、配偶者(お母さん)が特例を使って税金を0円にしました。
しかし、近い将来、そのお母さんが亡くなった時のこと(二次相続)を考えていますか?
お母さんが亡くなった時は、「配偶者の税額軽減」は使えません。しかも、同居していたお父さんがいないため、基礎控除額も下がります。
「一次相続(今回)」で安易にお母さんに財産を寄せすぎると、「二次相続(次回)」で子供たちが支払う税金が跳ね上がり、トータルで損をすることがよくあります。
目先の税額だけでなく、「親子二代でトータルいくら払うか」という視点を持つことが、賢い相続準備の極意です。
よくある質問とその回答
Q1. 相続税の申告を税理士に依頼すると、費用はいくらかかりますか?
一般的には「遺産総額の0.5%〜1.0%」が相場と言われています。今回の遺産8,000万円のケースであれば、40万円〜80万円程度が目安です。ただし、土地の数が多かったり、名義預金の調査など複雑な事情があったりする場合は加算されることがあります。特例を使って税金が0円になる申告でも、税理士報酬は発生しますが、将来の税務調査リスクを回避するための「保険料」と考えるのが妥当でしょう。
Q2. 生前贈与と相続、結局どちらが得なのでしょうか?
資産規模によりますが、時間をかけて少しずつ渡せるなら「生前贈与」が有利なケースが多いです。年間110万円の非課税枠内での贈与は基本ですが、あえて少し贈与税を払ってでも、相続税の最高税率より低い税率で生前に財産を移転する手法も有効です。ただし、亡くなる前3年(令和6年以降は段階的に7年へ延長)以内の贈与は相続財産に持ち戻されるルールがあるため、早めの対策が必須です。
Q3. 専業主婦の妻が貯めた「へそくり」も相続財産になりますか?
はい、なる可能性が高いです。専業主婦で収入がない場合、その「へそくり」の原資は夫の給与と考えられます。夫婦間であっても、生活費の余りを貯蓄したものは、実質的に夫の財産(名義預金の一種)とみなされ、夫の相続時に課税対象となることがあります。へそくりが数百万円単位になっている場合は、夫の遺産として計上するか、生前に正式に贈与契約を結ぶなどの対策が必要です。
Q4. 現金が足りず相続税が払えない場合、分割払いはできますか?
「延納(えんのう)」という制度があり、条件を満たせば年払いでの分割納付が認められます。しかし、延納はあくまで「どうしても払えない場合」の特例措置であり、審査は厳格です。さらに、延納期間中は銀行のカードローン並みの高い「利子税」がかかる場合があります。原則は期限内(10ヶ月以内)の現金一括納付ですので、生命保険などを活用して納税資金を準備しておくのが基本です。
Q5. 亡くなってからでもできる節税対策はありますか?
亡くなった後(相続発生後)にできる対策は限られますが、記事で解説した「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」を最大限活用する遺産分割を行うことが最大の節税です。また、お墓や仏壇をまだ購入していない場合、相続した現金で購入しても控除できませんが、未払いの入院費や葬儀費用などの領収書を漏れなく集めて債務控除として計上することは、地味ですが確実な節税につながります。
まとめ
基礎控除額の計算が全てのスタートライン
まずは「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」の計算式で、ご自身の家庭の非課税枠を把握しましょう。遺産総額がこの金額以下であれば、相続税の申告は不要です。ご自身が「申告が必要なグループ」に入るかどうか、ここを見極めるのが最初のステップです。
土地評価は「固定資産税評価額」で概算する
正確な路線価計算はプロに任せるとして、まずは手元の納税通知書にある「固定資産税評価額」を約1.14倍(または0.7で割り戻し0.8を掛ける)して、ざっくりとした土地の価値を把握しましょう。この「見えない財産」を数値化することで、対策の必要性が明確になります。
特例適用での「税額0円」には申告が必須
「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」を使えば、税額を大幅に減らせたりゼロにできたりしますが、それには「税務署への申告」が絶対条件です。特例を使うつもりなら、自分だけで判断せず、必ず期限内に手続きを行うことを忘れないでください。
納税資金(現金)の不足に要注意
「遺産額」と「納税額」だけでなく、「手元の現金」が足りるかを必ず確認してください。不動産が多く現金が少ない場合は、「黒字倒産」のリスクがあります。生命保険の非課税枠などを活用し、今のうちに「納税用の現金」を確保しておくことが、家族を争いから守ります。
不安なら「無料診断」でプロのセカンドオピニオンを
相続税の計算は、個別の事情によって大きく変わります。今回のシミュレーションで「ギリギリかも」「よく分からない」と感じた方は、自己判断で放置するのが一番危険です。私たちのような専門家の無料相談などを利用し、一度正確な「財産の棚卸し」をしてみることを強くお勧めします。